NISAでビットコインを買えれば、値上がり益に税金がかからないのでは?と考える人もいるでしょう。
しかしながら、2026年9月時点で、NISA口座ではビットコインそのものを買えません。
ただし、ビットコインに関わる企業の株式に投資する投資信託なら、NISAの成長投資枠で買えます。
この記事で解説するのは、次の3つです。
- NISAとビットコインの違い
- NISAで買える関連する投資信託3本
- 併用のコツ
2026年の法改正で変わる税金の話も、ファイナンシャルプランナー(FP)である筆者がお伝えします。
NISA口座でビットコインを直接買えない理由

NISAで買える商品は法律で決められており、ビットコインのような暗号資産は対象外です。
以下では、NISAの対象商品と、暗号資産を扱う法律の違いを説明します。
NISAの対象は一定の株式と投資信託に限られる
NISAで買えるのは、国が定めた条件を満たす株式や投資信託などに限られます。
NISA(少額投資非課税制度)とは、対象商品の売却益や配当金にかかる20.315%の税金をゼロにする国の制度です。
つみたて投資枠の対象は、長期の積立に向くとして金融庁に届け出られた投資信託とETF(証券取引所に上場している投資信託)です。
対象の本数は、2026年5月11日時点で354本あります。
成長投資枠は上場株式や投資信託などが対象ですが、毎月分配型や高レバレッジ型の投資信託は除かれています。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の投資上限額 | 120万円 | 240万円 |
| 非課税で保有できる上限額 | 2つの枠の合計で1,800万円 | うち1,200万円まで |
| 主な対象商品 | 金融庁に届け出た投資信託・ETF | 上場株式・投資信託・ETFなど |
| 暗号資産 | 対象外 | 対象外 |
表のとおり、どちらの枠にもビットコインのような暗号資産は含まれていません。
暗号資産は株式や投資信託と別の法律で扱われている
株式や投資信託は金融商品取引法、ビットコインなどの暗号資産は資金決済法と、別々の法律で扱われてきました。
NISAは金融商品取引法で扱う株式や投資信託などを買う制度なので、ビットコインは対象になりません。
2026年7月15日には、暗号資産を金融商品取引法の対象に移す改正法が成立しました。
ただし、施行は2027年の見込みで、NISAの対象に暗号資産を加える決定も出ていません。
「ビットコインNISA」という制度もないため、2026年9月時点でNISA口座からビットコインを買う方法はありません。
NISAとビットコインの3つの違い

NISAとビットコインは、利益にかかる税金、値動きの大きさ、資産を預ける先の3点が違います。
| 項目 | NISA | ビットコイン |
|---|---|---|
| 利益にかかる税金 | 非課税 | 最大55%(雑所得・総合課税) |
| 値動き | 株価指数に連動する投資信託なら比較的穏やか | 1日で10%以上動くこともある |
| 資産を預ける先 | 証券会社・銀行 | 暗号資産取引所 |
| 確定申告 | 不要 | 会社員は給与以外の所得が年20万円を超えると必要 |
引用:国税庁「No.1524 暗号資産を使用することにより利益が生じた場合の課税関係」
3つの違いを順に説明します。
利益にかかる税金が違う
NISA口座の利益は非課税ですが、ビットコインの利益には最大55%の税金がかかります。
ビットコインの利益は「雑所得」として給与などと合算され、所得税5〜45%と住民税10%がかかる総合課税の対象です。
会社員は給与以外の所得が年20万円を超えると確定申告が必要で、20万円以下でも住民税の申告は必要です。
売ったときだけでなく、ほかの暗号資産との交換や買い物の支払いに使ったときも税金がかかります。
取引所の取引履歴は、毎年ダウンロードして残しておきましょう。
値動きの大きさが違う
ビットコインは、株式に広く分散するインデックス投資信託よりも値動きが大きい商品です。
インデックス投資信託とは、S&P500(米国の代表的な企業500社の株価指数)などの指数と同じ値動きを目指す投資信託を指します。
2024年のビットコイン価格は、12月10日時点で円建て147%上昇しました。
一方で、1日に10%以上動くことや、1年で70%以上下落したこともあります。
老後資金のように使う時期が決まっているお金をビットコインに多く回すと、必要なときに大きく目減りしている可能性があります。
資産を預ける先が違う
NISAで買った商品の預け先は証券会社などで、ビットコインの預け先は暗号資産取引所です。
証券会社は顧客の資産を会社の資産と分けて管理しており、万が一破綻して資産が返還されない場合も、投資者保護基金が1人1,000万円まで補償します。
暗号資産取引所も顧客の資産を分けて管理していますが、サイバー攻撃で暗号資産が流出するリスクがあります。
取引所の事業が続けられなくなった場合に預けた金銭や暗号資産が返還されない可能性は、取引所自身も注意事項に書いているリスクです。
ビットコインを預ける取引所は、金融庁・財務局に登録された国内の暗号資産交換業者から選びましょう。
NISAとビットコインどっちを優先するかの判断基準

NISAとビットコインのどちらを優先するかは、お金を使う時期と、減っても生活に困らない金額かどうかで決めます。
40〜50代で老後資金を準備している人は、NISAを先に使い、ビットコインは残った余裕資金で検討するとよいでしょう。
老後資金を育てるならNISAを優先する
定年までに老後資金を増やしたい40〜50代は、NISAを優先するのがおすすめです。
NISAは利益に税金がかからず、非課税で持ち続けられる期間にも期限がありません。
たとえば50歳から65歳までの15年間、つみたて投資枠で毎月3万円を積み立てると、元本は540万円になります。
課税口座(NISA以外の通常の証券口座)なら、元本から増えた利益に20.315%の税金がかかりますが、NISAなら税金はかかりません。
ビットコインは値動きが大きく、65歳の時点で大きく値下がりしている可能性もあります。
使う時期が決まっている老後資金は、まずNISAで準備しましょう。
余裕資金の一部ならビットコインを組み合わせる
生活防衛資金を除いた余裕資金があるなら、ビットコインを組み合わせるのも一案です。
生活防衛資金とは、病気や失業で収入が途絶えたときに備えて、すぐに引き出せる預金で持っておくお金です。
ビットコインに回すお金は、半分に値下がりしても生活や老後の計画に影響しない金額にとどめましょう。
NISAの積立を続けながら残ったお金の範囲でビットコインを買えば、値下がりしたときもNISAを取り崩さずに済みます。
ビットコインを組み合わせるかどうかは、値下がりに耐えられる金額があるかを基準に決めるとよいでしょう。
NISAで買えるビットコイン関連の投資信託3選

NISAの成長投資枠では、ビットコインに関わる企業の株式に投資する投資信託を買えます。
組み入れているのは企業の株式で、暗号資産取引所の運営会社などの株価を通じて、ビットコイン市場の影響を受けます。
代表的な3本の特徴を順に見ていきましょう。
| ファンド名 | 運用方法 | 信託報酬 (年率・税込) | 暗号資産に関わる主な組入銘柄 | 組入銘柄の基準日 |
|---|---|---|---|---|
| グローバル・フィンテック株式ファンド | アクティブ運用 | 1.925% | ・コインベース・グローバル ・ロビンフッド・マーケッツ ・サークル・インターネット・グループ | 2026年3月末 |
| 世カエル | 指数連動 | 1.573% | ・コインベース・グローバル ・サークル・インターネット・グループ | 2026年8月末 |
| シークレット・コード | アクティブ運用 | 2.013% | ・ライオット・プラットフォームズ ・サイファー・デジタル ・コインベース・グローバル | 2026年7月末 |
引用:グローバル・フィンテック株式ファンド|アモーヴァ・アセットマネジメント
四半期レポート:世カエルのポートフォリオについて
暗号資産関連株式ファンド(シークレット・コード)
組入銘柄は定期的に入れ替わるため、購入前に各ファンドの最新の月次レポートで確認しましょう。
グローバル・フィンテック株式ファンド
グローバル・フィンテック株式ファンドは、世界のフィンテック企業の株式に投資する投資信託です。
フィンテックとは、スマホ決済やネット証券など、金融とITを組み合わせたサービスを指します。
運用方法は、担当者が銘柄を選んで指数を上回る成績を目指すアクティブ運用です。
2026年3月末時点の組入上位には、暗号資産取引所を運営するコインベース・グローバルや、ネット証券のロビンフッド・マーケッツが入っています。
米ドルと同じ価値を目指す暗号資産「USDC」を発行するサークル・インターネット・グループも、組入上位の3番目です。
信託報酬(保有中にかかる手数料)は年1.925%(税込)です。
インベスコ世界ブロックチェーン株式ファンド(世カエル)
「世カエル」の愛称で知られるインベスコ世界ブロックチェーン株式ファンドは、日本を含む世界のブロックチェーン関連企業の株式に投資する投資信託です。
ブロックチェーンとは、取引の記録をつなげて保管する技術のことで、ほとんどの暗号資産で使われています。
世カエルは、ブロックチェーン関連企業の株価指数と同じ値動きを目指すファンドです。
2026年8月末時点では、コインベース・グローバルやサークル・インターネット・グループも組み入れています。
日本企業のSBIホールディングスやメルカリも組み入れているのが特徴です。
信託報酬は年1.573%(税込)です。
暗号資産関連株式ファンド(シークレット・コード)
「シークレット・コード」の愛称で知られる暗号資産関連株式ファンドは、アセットマネジメントOneが2025年7月に設定した投資信託です。
暗号資産の交換所やマイニング、決済など、暗号資産に関わる事業を行う企業の株式に絞って投資します。
マイニングとは、取引の記録作業を行い、報酬としてビットコインを受け取る事業のことです。
2026年7月末時点の組入上位は、マイニング企業のライオット・プラットフォームズやサイファー・デジタルなどで、コインベース・グローバルも6番目に入っています。
信託報酬は年2.013%(税込)で、3本の中で最も高くなっています。
NISAでビットコイン関連の投資信託を買うときの注意点

ビットコイン関連の投資信託はNISAで買えるものの、ビットコインを直接持つ場合とは値動きもコストも違います。
買う前に確かめたい注意点を3つ説明します。
値動きはビットコイン価格と一致しない
ビットコイン関連の投資信託は、ビットコイン価格と同じ動きをするとは限りません。
組み入れている企業の株価は、業績や株式市場全体の動きにも左右されるためです。
商品の説明に出てくる言葉は、次のように意味が違います。
- 関連:暗号資産やブロックチェーンに関わる企業に投資している
- 連動:指数や価格と同じ動きを目指している
- 保有:ビットコインそのものを持っている
2026年3月には、暗号資産の下落でロビンフッド・マーケッツの株価が下がる一方、好決算のブロックの株価は上がりました。
「関連」の商品は、ビットコインと違う値動きをすることも理解して選びましょう。
信託報酬がインデックス投資信託より高い
ビットコイン関連の投資信託は、信託報酬が年1.5〜2%程度と、インデックス投資信託より高めです。
低コストのインデックス投資信託には、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)のように信託報酬が年0.1%を下回るものもあります。
100万円を10年間持った場合、運用成績を考えずに単純計算すると、差し引かれる信託報酬は年1.925%で約19万円、年0.1%で約1万円です。
差は約18万円になり、保有期間が長いほど差は広がります。
ビットコイン関連の投資信託は、資産の一部にとどめるとよいでしょう。
NISA口座の損失はほかの口座の利益と相殺できない
NISA口座で出た損失は、課税口座で出た利益と相殺できません。
課税口座どうしなら、ある商品の損失を別の商品の利益と差し引いて税金を減らせますが、NISA口座の損失はこの計算に使えない決まりです。
たとえばNISA口座のビットコイン関連の投資信託で30万円の損失が出ても、課税口座の株式で出た30万円の利益には税金がかかります。
NISA口座の損失は、翌年以降に繰り越すこともできません。
値動きの大きい商品をNISAで買うときは、値下がりしても税金の面で損失を取り戻せない点を理解しておきましょう。
NISAとビットコインを併用する際のコツ

NISAとビットコインを併用するときは、NISAの積立額を先に決め、ビットコインは少額を自動で積み立てる順番で進めます。
順番を決めておくと、ビットコインの値動きに合わせて老後資金の計画がぶれるのを防げます。
NISAの積立額を先に決める
NISAとビットコインを併用するときは、まずNISAで毎月いくら積み立てるかを決めましょう。
NISAの積立額を先に決めておけば、ビットコインが値上がりしたときに、NISAのお金をビットコインへ移したくなるのを防げます。
毎月の投資額が5万円なら、NISAに4万5,000円、ビットコインに5,000円のような配分が一例です。
NISAのつみたて投資枠で設定できる積立額は、年120万円、月10万円までです。
NISAの積立額を決めた残りからビットコインの積立額を決めると、老後資金の準備を後回しにせずに済みます。
ビットコインは資産全体の5〜10%に抑える
ビットコインに回すお金は、資産全体の5〜10%程度に抑えましょう。
ビットコインは1年で70%以上下落したこともあり、多く持つほど資産全体の値下がりも大きくなります。
たとえば資産が1,000万円ある人なら、ビットコインは50〜100万円までが目安です。
資産の10%をビットコインで持っていて価格が70%下がった場合、資産全体の減り方は7%にとどまります。
値上がりして比率が10%を超えたら、一部を売って比率を戻すと、値下がりしたときの影響を抑えられます。
一部を売って利益が出たときは税金がかかるため、取引履歴もあわせて残しておきましょう。
ビットコインは暗号資産取引所の自動積立で買う
ビットコインは、暗号資産取引所の自動積立で少しずつ買うのがおすすめです。
自動積立とは、毎月や毎日など決めた頻度で、決めた金額分のビットコインを自動で買う機能を指します。
購入の時期を分けて買うのは、価格が高いときにまとめて買ってしまう失敗を防ぐためです。
毎月決まった金額で買い続けると、価格が安いときほど多くの量を買えます。
取引所によっては月500円程度から積み立てられるため、NISAの積立に影響しない金額で始められるでしょう。
自動積立の始め方は、次の記事で手順を紹介しています。
NISAとビットコインに関わる2026年の法改正

2026年には、暗号資産の扱いを変える法改正が相次いで成立しました。
成立から適用までの流れは次のとおりです。
| 時期 | 出来事 |
|---|---|
| 2026年3月31日 | 暗号資産の利益に分離課税を導入する改正所得税法が公布 |
| 2026年7月15日 | 暗号資産を金融商品取引法の対象にする改正法が成立 |
| 2027年(見込み) | 改正金融商品取引法の施行 |
| 2028年1月1日(見込み) | 対象となる暗号資産の利益に税率20.315%を適用 |
ビットコインの法律上の扱い、税金、ETFに関わる3つの変化を順に説明します。
2026年7月に暗号資産を金融商品取引法へ移す改正法が成立した
2026年7月15日、暗号資産を資金決済法から金融商品取引法の対象に移す改正法が成立しました。
改正により、暗号資産は支払いの手段から、株式とは別の種類の「金融商品」として扱われるようになります。
暗号資産のインサイダー取引(公表前の重要な情報を使った売買)が禁止されるなど、投資家を守るルールも加わります。
改正法の施行は公布から1年以内とされており、2027年の見込みです。
施行されるまでは、ビットコインの扱いは2026年9月時点と変わりません。
ビットコインの税金は2028年1月から約20%になる見込み
ビットコインの利益にかかる税金は、2028年1月から一律20.315%になる見込みです。
2026年3月31日に公布された改正所得税法で、「特定暗号資産」の利益を給与などと分けて課税する申告分離課税が決まりました。
特定暗号資産とは、国内の登録業者が扱う暗号資産のうち、今後の府省令で指定される銘柄のことです。
適用は改正金融商品取引法の施行日が属する年の翌年1月1日からで、施行が2027年なら2028年1月からになります。
2027年までに売った分は、最大55%の総合課税のままです。
海外の取引所で売った利益は、2028年以降も分離課税の対象外とされています。
暗号資産ETFがNISAで買えるかは決まっていない
暗号資産ETFがNISAで買えるようになるかは、2026年9月時点で決まっていません。
暗号資産ETFとは、ビットコインなどの価格と同じ動きを目指し、証券取引所で売買できる投資信託です。
日本で組成するには、投資信託が組み入れられる資産に暗号資産を加える、投資信託法施行令の改正が必要です。
さらに、上場してもNISAの対象に自動で入るわけではなく、NISAの対象商品を定める政令の改正が別に必要とされています。
NISAでビットコインの値動きに投資したい人は、国の発表を確認しながら判断しましょう。
NISAとビットコインのよくある質問

NISAとビットコインについて、検索で多く調べられている質問に答えます。
証券会社ごとの違い、積立の方法、関連株の扱いを確認できます。
Q.SBI証券や楽天証券のNISAならビットコインは買える?
A.SBI証券でも楽天証券でも、NISA口座でビットコインは買えません。
NISAの対象商品は国の制度で決まっており、どの金融機関でも同じです。
ビットコイン関連の投資信託は成長投資枠の対象ですが、取り扱うファンドは証券会社によって違います。
Q.ビットコインの積立はNISAでできる?
A.ビットコインそのものの積立は、NISAではできません。
ビットコインを積み立てたい場合は、暗号資産取引所の自動積立を使います。
ビットコイン関連の投資信託であれば、成長投資枠で積み立てられます。
Q.ビットコイン関連株はNISAの対象?
A.上場している株式なら、ビットコイン関連株も成長投資枠で買えます。
たとえば米国に上場するコインベース・グローバルは、SBI証券などで取り扱いがあります。
米国株をNISAで買えるかは取り扱う銘柄は証券会社ごとに違うため、購入前に各社のサイトで確認しましょう。
なお、整理銘柄や監理銘柄に指定された株式は成長投資枠の対象外です。
まとめ|NISAとビットコインは役割を分けて併用するのがおすすめ

2026年9月時点で、NISA口座ではビットコインそのものを買えません。
NISAで買えるのは、世カエルなど、ビットコインに関わる企業の株式に投資する投資信託です。
ビットコインの利益には最大55%の税金がかかる一方、NISA口座の利益は非課税になります。
40〜50代なら、NISAの積立額を先に決め、ビットコインは資産全体の5〜10%を目安に自動積立で買う方法がおすすめです。
2028年1月に予定される税率の変更も、国の発表で確認しておきましょう。
まずは今のNISAの積立額を確かめ、ビットコインに回せる金額を計算してみてください。

