住宅ローンを固定金利と変動金利のどっちで借りるか、決めきれずに迷っていませんか。
日本銀行が2026年に政策金利を引き上げたことで、変動金利で借りて大丈夫か不安に感じる人も多いでしょう。
固定金利は毎月の返済額が多い代わりに、金利が上がっても返済額が変わりません。
どちらを選ぶかは、変動金利の返済額が増えても家計で払えるかどうかで考えると決めやすくなります。
本記事では、4,000万円を35年で借りた場合の返済額の差と、変動金利が上がった場合の総返済額を試算しました。
固定金利と変動金利それぞれに向いている人の条件と迷った場合の選び方を、ファイナンシャルプランナー(FP)の資格を持つ筆者が解説します。
住宅ローンの固定金利と変動金利の違い

住宅ローンの金利タイプは、変動金利、全期間固定金利、固定期間選択型の3種類です。
3つの違いは、金利が見直される時期と、毎月の返済額が変わるかどうかにあります。
| 変動金利 | 全期間固定金利 | 固定期間選択型 | |
|---|---|---|---|
| 金利の見直し | 半年ごと | 完済まで見直さない | 固定期間が終わったとき |
| 毎月の返済額 | 一般的に5年ごとに見直す | 完済まで変わらない | 固定期間中は変わらない |
| 借りるときの金利 | 3つの中で最も低い | 3つの中で最も高い | 固定期間が短いほど低い |
| 金利が上がったときの影響 | 受ける | 受けない | 固定期間が終わったあとに受ける |
※金利の高さは一般的な傾向です。
変動金利は半年ごとに金利が見直される
変動金利は、借りたあとも半年ごとに金利が見直される金利タイプです。
多くの銀行は、短期プライムレートの動きに合わせて変動金利を決めています。
短期プライムレートとは、銀行が信用度の高い企業に1年未満でお金を貸すときの、最も低い金利のことです。
日本銀行が政策金利を上げると、短期プライムレートが上がり、変動金利も上がっていきます。
変動金利は3つの金利タイプの中で借りるときの金利が最も低く、毎月の返済額を抑えられます。
一方で、借りたあとに金利が上がると、利息の負担が増えていく点に注意が必要です。
全期間固定金利は完済まで金利が変わらない
全期間固定金利は、借りた時点の金利が完済まで続く金利タイプです。
毎月の返済額が借りるときに決まるため、35年先までの返済計画を立てられます。
代表的な商品は、住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して扱う「フラット35」です。
フラット35は、最長35年の全期間固定金利で借りられる住宅ローンを指します。
固定金利は、長期金利(10年物の国債の利回り)の動きをもとに決まります。
借りたあとに金利が上がった場合の損を銀行が負うため、固定金利は変動金利より高めに設定されるのが一般的です。
固定期間選択型は当初の数年間だけ金利が固定される
固定期間選択型は、3年・5年・10年など、最初に決めた期間だけ金利が固定される金利タイプです。
固定期間が終わると、その時点の金利で、変動金利にするか、もう一度固定金利にするかを選び直します。
申し出がなければ自動で変動金利に切り替わる銀行もあるので、注意が必要です。
固定期間選択型は、子どもが小さいあいだだけ返済額を確定させたい場合に適した金利タイプです。
ただし、固定期間が終わったときに金利が上がっていると、返済額が一度に増える可能性があります。
住宅ローンの変動金利と固定金利の割合は変動が多い

住宅ローンを借りた人のうち、4人に3人が変動金利を選んでいます。
住宅金融支援機構が、2025年4月〜9月に住宅ローンを借りた人を調べた結果は次のとおりです。
| 金利タイプ | 利用した人の割合 | 前回調査(2025年4月)との差 |
|---|---|---|
| 変動型 | 75.0% | 4.0ポイント減 |
| 固定期間選択型 | 14.9% | 2.7ポイント増 |
| 全期間固定型 | 10.1% | 1.3ポイント増 |
引用:住宅金融支援機構「住宅ローン利用者の実態調査結果(住宅ローン利用者調査 2026年1月調査)」
変動金利を選ぶ人は前回の調査から4.0ポイント減り、固定金利を選ぶ人が少しずつ増えています。
同じ調査では、今後1年間で住宅ローンの金利が「現状よりも上昇する」と答えた人が73.7%いました。
金利が上がったときに返済額がどれくらい増えるかを「よく理解していない」などと答えた人も、合わせて52.0%います。
金利タイプを選ぶときは、次の章で紹介する返済額の差を、自分の家計に当てはめて確かめましょう。
住宅ローンの固定金利と変動金利の返済額を比較

2026年10月時点で、主要な銀行の変動金利(新規に借りる場合の最も低い金利)は年1.0〜1.7%台です。
全期間固定金利のフラット35は、取り扱う金融機関で最も多い金利が年3.83%でした。
| 金利タイプ | 2026年10月時点の金利 |
|---|---|
| 変動金利(主要な銀行) | 年1.0〜1.7%台 |
| 全期間固定金利(フラット35) | 年3.83% |
※フラット35は、借入期間21年以上35年以下、物件価格に対する借入額の割合が9割以下、新機構団信付きの場合の金利です。
引用:住宅金融支援機構「最新の金利情報:長期固定住宅ローン【フラット35】」
以下では、変動金利を年1.2%、固定金利をフラット35の年3.83%として返済額を比べます。
毎月の返済額の差
4,000万円を35年の元利均等返済で借りると、毎月の返済額は変動金利のほうが約5.6万円少なくなります。
元利均等返済とは、毎月の返済額(元金と利息の合計)が一定になる返し方のことです。
| 変動金利(年1.2%) | 固定金利(年3.83%) | 差 | |
|---|---|---|---|
| 毎月の返済額 | 約11.7万円 | 約17.3万円 | 約5.6万円 |
| 1年間の返済額 | 約140万円 | 約208万円 | 約68万円 |
※2026年10月時点の金利が35年間続くと仮定した試算です。ボーナス返済はなしとし、諸費用は含みません。
固定金利を選ぶと、金利が上がっても返済額が変わらない代わりに、毎月約5.6万円多く払うことになります。
1年間に直すと約68万円の差になり、家計への影響は小さくありません。
総返済額の差
変動金利が年1.2%のまま35年間変わらなければ、総返済額の差は約2,368万円に広がります。
| 変動金利(年1.2%) | 固定金利(年3.83%) | 差 | |
|---|---|---|---|
| 総返済額 | 約4,901万円 | 約7,268万円 | 約2,368万円 |
| うち利息 | 約901万円 | 約3,268万円 | 約2,368万円 |
ただし、変動金利が35年間ずっと同じ水準で続く可能性は低いと考えられます。
日本銀行は2026年9月18日に、政策金利を1.25%程度へ引き上げると決めました。
引用:日本銀行「金融市場調節方針の変更について」(2026年9月18日)
総返済額の差だけを見て変動金利を選ぶと、金利が上がったときに家計が苦しくなる可能性があります。
次の章で、変動金利が上がった場合の総返済額を確かめておきましょう。
変動金利が上がった場合に固定金利とどっちが得か

変動金利が上がると、固定金利との返済額の差は少しずつ縮まります。
以下の試算では、変動金利が5年ごとに同じ幅で上がり、毎月の返済額も5年ごとに見直すと仮定しました。
返済額の見直しでは、直前の返済額の1.25倍を上限としています。
固定金利は、35年間年3.83%のまま続く前提です。
5年ごとに0.5%ずつ上がる場合
変動金利が5年ごとに0.5%ずつ上がっても、総返済額は固定金利より約1,551万円少なくなります。
変動金利は6年目に年1.7%、31年目には年4.2%まで上がる計算です。
| 期間 | 変動金利 | 毎月の返済額 |
|---|---|---|
| 1〜5年目 | 年1.2% | 約11.7万円 |
| 6〜10年目 | 年1.7% | 約12.5万円 |
| 11〜15年目 | 年2.2% | 約13.3万円 |
| 16〜20年目 | 年2.7% | 約13.9万円 |
| 21〜25年目 | 年3.2% | 約14.4万円 |
| 26〜30年目 | 年3.7% | 約14.7万円 |
| 31〜35年目 | 年4.2% | 約14.9万円 |
| 総返済額 | ー | 約5,717万円(固定金利は約7,268万円) |
31年目からは変動金利が固定金利の年3.83%を上回りますが、毎月の返済額は固定金利の約17.3万円より少ないままです。
借りてから30年のあいだに元金の多くを返し終えているため、金利が上がっても総返済額は固定金利より少なく済みます。
5年ごとに1%ずつ上がる場合
変動金利が5年ごとに1%ずつ上がると、総返済額は約6,649万円となり、固定金利との差は約620万円まで縮まります。
変動金利は16年目に年4.2%となり、固定金利の年3.83%を上回る計算です。
| 期間 | 変動金利 | 毎月の返済額 |
|---|---|---|
| 1〜5年目 | 年1.2% | 約11.7万円 |
| 6〜10年目 | 年2.2% | 約13.4万円 |
| 11〜15年目 | 年3.2% | 約15.0万円 |
| 16〜20年目 | 年4.2% | 約16.3万円 |
| 21〜25年目 | 年5.2% | 約17.5万円 |
| 26〜30年目 | 年6.2% | 約18.3万円 |
| 31〜35年目 | 年7.2% | 約18.7万円 |
| 総返済額 | ー | 約6,649万円(固定金利は約7,268万円) |
21年目からは、毎月の返済額が固定金利の約17.3万円を上回ります。
総返済額が固定金利と並ぶのは、変動金利が5年ごとに約1.3%ずつ上がり、31年目に年9%を超える場合です。
借りてから10年ほどのあいだに金利が急に上がると、低い金利で元金を減らせる期間が短くなります。
その場合は、固定金利との総返済額の差がさらに縮まるでしょう。
住宅ローンを変動金利にする場合の注意点

変動金利で借りる場合は、総返済額の試算に表れない注意点が2つあります。
金利が上がったときの元金の減り方と、返済額の増加を抑える「5年ルール・125%ルール」で起こる未払利息を確かめておきましょう。
金利が上がると元金が減りにくくなる
変動金利が上がると、毎月の返済額のうち利息に回る分が増え、元金(借りたお金そのもの)の減り方が遅くなります。
元利均等返済では、返済額の中から利息を先に払い、残りを元金の返済に回すためです。
4,000万円を年1.2%で借りた場合、最初の5年間で元金は約474万円減る計算です。
同じ4,000万円を年3.83%で借りた場合、最初の5年間で減る元金は約300万円にとどまります。
金利が上がるとローン残高が減りにくくなり、利息を払う期間も長く続きます。
変動金利で借りたあとは、毎年届く返済予定表で元金の減り方を確かめておくと安心です。
5年ルール・125%ルールでも未払利息が残ることがある
一般的に、変動金利の住宅ローンには、返済額の急な増加を抑える「5年ルール」と「125%ルール」があります。
5年ルールとは、金利が半年ごとに変わっても、毎月の返済額は5年間変えない決まりのことです。
125%ルールとは、5年ごとの見直しで返済額が増える場合も、直前の返済額の1.25倍までに抑える決まりを指します。
2つのルールは返済額の増加を抑えるだけで、払う利息は減りません。
金利が大きく上がり、利息が毎月の返済額を上回ると、上回った分は「未払利息」として残ります。
未払利息が出ている間は返済額がすべて利息に回り、元金は1円も減りません。
未払利息の精算方法は金融機関によって異なるため、契約前に確認しておきましょう。
5年ルールと125%ルールを採用していない銀行もあります。
住宅ローンを変動金利にした方がよい人

変動金利は、固定金利との返済額の差を、金利が上がったときの備えに使える人に向いています。
変動金利を選んでも家計が困りにくい人の条件は、次の2つです。
返済額の差を貯蓄や繰上返済に回せる人
変動金利は、固定金利との返済額の差を使わずに残しておける人に向いています。
4,000万円・35年の試算では、毎月の返済額の差は約5.6万円です。
差額を貯めておけば、金利が上がって返済額が増えたときも、増えた分を貯蓄から払えます。
貯めたお金で繰上返済をすると元金が早く減り、金利が上がったときの利息の負担も小さくなります。
繰上返済とは、毎月の返済とは別に、ローンの一部をまとめて返すことです。
反対に、差額を生活費や趣味に使ってしまう人は、金利が上がったときの備えが残りません。
金利が上がっても家計に余裕がある人
変動金利は、金利が上がって返済額が増えても、毎月の支払いを続けられる人に向いています。
4,000万円・35年で借りた直後に変動金利が年1.2%から年2.2%に上がると、毎月の返済額は約11.7万円から約13.7万円に増える計算です。
125%ルールがある場合、5年ごとの見直しで返済額は最大で1.25倍まで増える可能性があります。
目安として、毎月の返済額が約11.7万円から約14.6万円に増えても、ほかの支出を削らずに払えるかを確かめておきましょう。
共働きの家庭は、どちらかの収入が減っても返済を続けられるかも確認しておくと安心です。
住宅ローンを固定金利にした方がよい人

固定金利は、毎月約5.6万円多く払ってでも、返済額を完済まで確定させたい人に向いています。
固定金利を選んだ方が家計の見通しを立てやすい人の条件は、次の2つです。
教育費がかさむ時期に返済額を固定したい人
子どもの大学進学など、教育費が大きくかかる時期が返済中に来る人は、固定金利を検討しましょう。
教育費がかさむ時期に変動金利が上がると、教育費と住宅ローンの返済額が同時に増えるためです。
たとえば、35歳で借りて子どもが3歳なら、子どもが18歳になる時点で返済は16年目に入ります。
5年ごとに1%ずつ上がる試算では、16年目から変動金利が年4.2%になり、毎月の返済額は約16.3万円まで増えていました。
固定金利なら毎月の返済額が完済まで変わらないため、教育費の積み立て計画も立てやすくなります。
完済時の年齢が高く返済期間が長い人
40代で35年のローンを組む人も、固定金利を検討した方がよいでしょう。
40歳で35年ローンを組むと、完済するのは75歳です。
返済期間が長いほど、金利が上がる可能性のある期間も長くなります。
さらに、定年後は収入が年金中心になるため、返済額が増えた分を収入で補うのは難しくなります。
4,000万円をフラット35の年3.83%で借りた場合、65歳の時点でもローン残高は約1,723万円残る計算です。
退職金で残りを返す予定の人は、返済額が変わらない固定金利で、退職時の残高を正確に見通しておきましょう。
住宅ローンの固定金利と変動金利で迷った場合の選び方

固定金利と変動金利のどちらか1つに決められない場合は、2つの金利タイプのよいところを組み合わせる借り方があります。
ここでは、ミックスローンと、変動金利で借りて差額を積み立てる方法の2つを紹介します。
ミックスローンで変動と固定に分けて借りる
ミックスローンとは、借入額を2つに分け、一方を変動金利、もう一方を固定金利で借りる方法です。
4,000万円を2,000万円ずつに分けて変動金利(年1.2%)と固定金利(年3.83%と仮定)で借りると、毎月の返済額は約14.5万円になります。
全額を固定金利で借りる場合と比べると、毎月の返済額は約2.8万円少なくなります。
金利が上がったときに影響を受けるのは、変動金利で借りた2,000万円分だけです。
ただし、ミックスローンは契約が2本になるため、登記の費用などが2本分かかる場合があります。
変動金利と固定金利の割合は、家計に合わせて決めましょう。
変動金利で借りて固定金利との差額を積み立てる
変動金利で借り、固定金利で借りた場合との返済額の差を毎月積み立てる方法もあります。
4,000万円・35年の試算では、毎月約5.6万円を積み立てると、5年で約338万円たまる計算です。
※積み立てたお金につく利息は含めていません。
積み立てたお金は、金利が上がったときの繰上返済や、増えた返済額の支払いに使えます。
金利が上がらなかった場合は、積み立てたお金を教育費や老後の資金に回すこともできるでしょう。
差額を使ってしまわないように、返済用の口座とは別の口座に自動で積み立てる設定にしておきましょう。
住宅ローンの固定金利と変動金利に関するよくある質問
固定金利と変動金利について、よくある質問と答えをまとめました。
Q. 変動金利が固定金利を超えるとどうなりますか?
A. 変動金利が借りたときの固定金利を上回っても、変動金利のまま返済が続きます。
上回った時点からは、固定金利で借りた場合より毎月の利息が多くなります。
ただし、借りた当初の低い金利で元金を早く減らしているため、総返済額がすぐに固定金利を上回るとは限りません。
Q. 途中で変動金利から固定金利に変えられますか?
A. 返済中に、変動金利から固定金利に変えられる銀行があります。
変更後の金利は変更した時点の固定金利になるため、金利が上がってから変えると高い固定金利が適用されます。
変更できる時期や手数料は銀行ごとに異なるので、契約前に確認しておきましょう。
Q. 借り換えるなら固定金利と変動金利のどっちが得ですか?
A. 借り換えでも、残りのローン残高と返済期間で返済額の差を比べるのが基本です。
残りの返済期間が短いほど、金利が上がったときの影響は小さくなります。
借り換えには事務手数料や登記の費用がかかり、事務手数料が借入額の2.2%(税込)の銀行もあります。
諸費用を含めた総額で、借り換えたほうが得かを確かめましょう。
まとめ|住宅ローンの固定金利と変動金利はどっちを選ぶか
住宅ローンの固定金利は毎月の返済額が多い代わりに、金利が上がっても返済額が変わりません。
どちらを選ぶかは、変動金利の返済額が増えても家計で払えるかどうかで考えると決めやすくなります。
2026年10月時点の金利で4,000万円・35年を試算すると、変動金利(年1.2%)は固定金利(年3.83%)より毎月約5.6万円少なく済みます。
変動金利が5年ごとに1%ずつ上がっても、総返済額は固定金利より約620万円少ない計算でした。
一方で、教育費がかさむ時期と返済が重なる人や、40代で35年ローンを組む人は、返済額が変わらない固定金利のほうが計画を立てやすくなります。
決めきれない場合は、ミックスローンや差額の積み立ても検討しましょう。
まずは銀行の住宅ローンシミュレーションに自分の借入額と返済期間を入れて、返済額の差を確かめてみてください。
